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Connect.(コネクト・ドット)

「あ、これってあれだ!」とつながった瞬間を語ってみる、ちょっと変わった書評ブログ。

#1 2度も私の人生を変えた本。森絵都『カラフル』

こんにちは。初めての書評投稿にドキドキのkazuです。

今日は、kazuという人間を語るには欠かせないこの本を中心にお話します。

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

この本との出会い

私の『カラフル』との出会いは、小学校4年生の時。

当時私は、あさのあつこ『バッテリー』に「はまって」いました。『バッテリー』と続編『ラスト・イニング』を読みきった私に、「あさのあつこ先生の本が好きなら、これも」と友達のお母さんが薦めてくれたのがこの『カラフル』。

その時は、この本が2度も私の人生を変えるなんて思いもしなかったのです。

 

1度目

1度目は、最初にこの本を読み切ったとき。それこそ、頭かち割られたような衝撃を受けました。

本、ってこんなに面白いものなのか、と。

本を閉じるのが惜しい。ああ、もう一回読みたい。
読後にこんなことを思ったのは初めてでした。
日を置かずにもう一周。そしてその後、森絵都先生の著作から始まって、最終的には目につく本を片っ端から乱読しました。

私は『カラフル』との出会いを境に初めて読書にはまったのです。

そうして、私は本好きになったのでした。

 

二度目 

これは最近の話。
大学受験を終えた私は、『カラフル』の世間の評価をググって楽しんでいました。

そのときに、#0で紹介したひろたつさんのブログ俺だってヒーローになりてえよに出会ったんです。

ひろたつさんのブログに出会わなかったら、多分このブログを書こうとは思わなかったでしょう。それまでは、ブログを書くことには興味がなかったので。新しい世界を見るきっかけになった、という意味で、私はまた『カラフル』に人生を変えられたのです。

 

前置きが長くなってしまいました。では、本自体の紹介に移りましょう。

 

あらすじ

 生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。  (「BOOK」データベースより)

一応引用してみたのですが、要約してしまうと『カラフル』の面白さは20%ぐらいになってしまいますね、どうしても。だからみなさんには冒頭を読んでほしい!

 死んだはずのぼくの魂が、ゆるゆるとどこか暗いところへ流されていると、いきなり見ず知らずの天使が行く手をさえぎって、
「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
と、まさに天使の笑顔を作った。 

        森絵都『カラフル』文集文庫 プロローグより

どうでしょうか、私はこの一行目を読んだ瞬間からはまったのですが……。

 

『カラフル』、そして森絵都先生の魅力 

前述したように、ひろたつさんのブログと私の出会いは、ひろたつさんの『カラフル』の書評であったわけですが、それに私はいたく感銘を受けたのです。
その記事というのがこちら。

orehero.hateblo.jp

もうね、ホントに素晴らしい。

この記事程、森先生と『カラフル』への敬意と愛と情熱に満ちていて、かつこの作品の素晴らしさがちゃんと伝わるものってないですよ!!

森先生は好きな作家No.1ですが、ファンとしても文句なしの(若造がおこがましいかも……)最高のレビューだと思います。

だから私は敢えて書きません。言いたいことはほとんど書いてあるし。

 

温泉なんです

 ただ、何もないのはレビューとしてどうかと思うので、一つだけ。

『カラフル』は、例えるなら温泉みたいな作品です。

どっぷりと浸かって、現実とどこかリンクしているちょっとした非日常を楽しんで、湯からあがると、疲れとか傷とかが癒されてちょっと身体が軽くなっていて、また明日から頑張って生きよう、という気持ちになる。そんな作品なんです。

だから気負わずに読んでみてください。ちょっとお出かけ、ぐらいの気持ちで。

 

 

誰もが知っているあの名作と重なる 

続きを書く前に念押ししておきます。

これは私の頭の中での「気づき」であって
文学的、学術的な根拠は一切ありません。

もう一度言います。
文学的な根拠のない一読者の私見です!

19の若造のブログに誰もこんなことは期待しないことは分かっていながら、始めに念押ししたのは、私が今から語る作品が世間的に国宝レベルに扱われているからです。つまり予防線を張ったわけです。

その作品というのは、夏目漱石『こころ』です。

こころ (集英社文庫)

こころ (集英社文庫)

 

まず、『こころ』の紹介

高校の教科書には、森鴎外舞姫』と並んで必ず載っているので、作品を読んだことがある人の方が多数派でしょうし、そうでなくても名前くらいは聞いたことがあるでしょう。

「私」は、鎌倉の海で出会った「先生」の不思議な人柄に強く惹かれ、関心を持つ。「先生」が、恋人を得るため親友を裏切り、自殺に追い込んだ過去は、その遺書によって明らかにされてゆく。近代知識人の苦悩を、透徹した文章で描いた著者の代表作。 (「BOOK」データベースより)

 

『こころ』と『カラフル』は似ている

 あ、今すっごいブーイングが聞こえた……構わず続けます。

私が『こころ』を読んだのは高2の夏。夏休みの宿題だったんです。
それまではその大物感に圧倒されて読むのを敬遠していたのだけど、読んでみたら想像より読みやすくてびっくりしました。敬遠してて損してたな~と思いました。

その時私は、『こころ』の有名過ぎる一節を読んで、ふと『カラフル』と似てるな、と思ったんです。それがこれ。

悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。
そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。
平生はみんな善人なんです。
少なくともみんな普通の人間なんです。
それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです
だから油断ができないんです。
             夏目漱石『こころ』より

 

 

人間という生き物をどうとらえるか

 『こころ』を授業などで取り扱うとき、必ず集中して議論されるのは先生の友人K。

これは難しいテーマだし、Kについて考えるとどうしても暗い気持ちになってしまうので、わからない上に面白くない→名作文学はつまらないという方程式が出来上がってしまう気がします。もったいない!

私が言うのもなんですが、『こころ』は、Kのことはそんなに気にせずに、気負わずに、まず一読してほしいです。で、考えてほしいのが、人間の本性は善なのか、悪なのか?という問い。

得体のしれないKの事よりは身近に感じるでしょう。さっき引用した部分がそれです。

実はこの問は、『カラフル』でもひとつのテーマなんですよね。
例えばこの、ひろかと主人公が会話するシーン。

「ときどきうんと残酷になるのは、ひろかだけじゃない?」
「ひろかだけじゃないよ」
「だれかをうんと傷つけたくなるのはひろかだけじゃない?」
「ひろかだけじゃないよ」
うんとやさしいひろかと、うんと意地悪なひろかがいるの
みんなそうだよ。いろんな絵の具を持ってるんだ、きれいな色も、汚い色も
           森絵都『カラフル』文集文庫186頁より

 『こころ』では「人間はもともと善だけど、何かの拍子で悪になってしまう」というスタンスだけど、『カラフル』では「もともと善も悪も存在している」。

これは孔子の時代から議論されていることで、人類の永遠のテーマ。

古典的名作も、現代の児童文学に分類される本も、同じテーマの変種なんだなあと思ったら、ちょっとだけ古典的名作『こころ』に対するハードルも下がるのではないでしょうか。

 

まとめ

今回は一番好きな作品×古典的名作だったのでとっても長くなってしまいました汗

ここまで読んでくださった時点で本好きな気がするけど、『カラフル』も『こころ』も本好きもそうでない人も気軽に手に取ってほしい一冊です。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

 

kazu