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「あ、これってあれだ!」とつながった瞬間を語ってみる、ちょっと変わった書評ブログ。

#4 大人がはまってしまうのにはわけがある。J.K.ローリング『ハリー・ポッター』×尾田栄一郎『ONE PIECE』

こんにちは。kazuです。

今回は、ギネス級ヒット作×2! また、長くなる気しかしません……汗
どうかお付き合いください。

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

 

ギネス級ヒット作その1

 J.K.ローリング『ハリー・ポッター』シリーズ(以下、『ハリポタ』)。これを全く知らないという人は、なかなかいないでしょう。ギネス記録認定がニュースになり、シリーズ最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』の発売日には行列ができて大変話題になりました。

しかし、読んだことがない人も多いはず。何てったって長いですから。全7作。
ハリー・ポッターと賢者の石』から始まって、『秘密の部屋』『アズカバンの囚人』『炎のゴブレット』『不死鳥の騎士団』『謎のプリンス』、そして『死の秘宝』まで。
しかも、4作目から上下巻に分かれてるし。しかも、一冊がすっごい分厚い。

本嫌いの人はじんましん出るレベル。面白いんだけどなー。

「メガネの男の子が魔法使って大冒険する話」というのが、未読者の大抵のイメージでしょう。まあほぼ正解です。そんな単純じゃないですが(笑)。それくらいの認識でOKです。一応あらすじを引いておきます。

ハリー・ポッターは孤児。意地悪な従兄にいじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ホグワーツ魔法学校からの入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知る。キングズ・クロス駅、9と3/4番線から紅色の汽車に乗り、ハリーは未知の世界へ。親友のロン、ハーマイオニーに助けられ、ハリーの両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決までの、息を飲む展開。9歳から108歳までのファンタジー。 (「BOOK」データベースより)

 

映画か原作か

私がハリポタを認識したのは小1の時。読んだのは小2になってからです。
すぐファンになって、映画も全部見ました。4作目からは全部映画館で観ました。

映画と原作どっちがいいか、って話によくなるんですが、私はどっちもいいと思います。というのも、ハリポタはかなり再現性高くて、キャストもはまり役ばかり。なかなかないハイクオリティ!!

とはいっても、私は最終作『死の秘宝』のストーリー改変にだけ全く納得してません。
超良いシーンが変わっちゃってて(泣)。最終巻だけは原作に軍配上がります。

基本的には映画と原作どちらもおすすめなのですが、映画は、話を端折りすぎてわかりにくいとこあるし、原作は、登場人物が多すぎて混乱するっていうのも事実(笑)。
全く見たことない人には、まず1作目を映画で見て世界観をなんとなく把握して、それから原作、2作目からは原作→映画と交互に、というのをおすすめします。

 

ギネス級ヒット作その2

こちらもギネス級ヒット作。これも、全く知らん人はなかなかおらんでしょう。

ONE PIECE  1 (ジャンプ・コミックス)

ONE PIECE 1 (ジャンプ・コミックス)

時は大海賊時代。いまや伝説の海賊王G・ロジャーの遺した『ひとつなぎの大秘宝』を巡って、幾人もの海賊達が戦っていた。そんな海賊に憧れる少年ルフィは、海賊王目指して大いなる旅に出る!!
日本漫画家協会賞(第41回)】【「TRC MARC」の商品解説】

私がこの作品に出会ったのは、中2の時。

なんとなくTVを聞いていて、山口勝平さんの声がしたので、「あ、コナンだ!」と思って見たんですが、それが『ONE PIECE』だったんです。というのも、『名探偵コナン』の工藤新一と『ONE PIECE』のウソップは同じ山口勝平さんの声。で、そのままなんとなく見てたら結構面白くてはまりました。

それからお小遣いを貯めて、高校受験が終わった次の日に60巻ほど大人買い。「『ONE PIECE』全巻下さい!」って書店員さんに言ったのはなかなか気持ちよかった! いい思い出です(笑)。

 

ギネス級にヒットするとはどういうことか

 『ハリー・ポッター』も『ONE PIECE』もギネスブックに載るほどの売り上げなわけですが、それは、

大人がはまってしまう

ということなんです。

2作品とも子供向けではありますが、超大作すぎて、子どものお小遣いでは手が届きません。全巻そろえたら万単位で飛びます。

しかし、世界中でこれだけ売れてる。ということは大人が買ってる。しかも結構な数の大人が。そういうわけです。

 

共通点はたくさんある

私はこの2作品はめちゃくちゃ似てると思います。

あ、今両作品のファンからブーイングが聞こえた……。構わず続けますね。

そりゃね、題材は違いますよ、全然。魔法使いと海賊。
でも、ちゃんと見ると物語の構造、というか魅せ方がすっごく似ているんです。

まず、2つとも少年冒険譚。で、一種の小作品集みたいな構成になってます。
『ハリポタ』は主人公の学年ごとに、『ONE PIECE』は訪れる島ごとに一応話が区切れています。

そして、そのバックにシリーズ全体を貫く大きな話があるという構成。
『ハリポタ』なら宿敵ヴォルデモート卿との対決。『ONE PIECE』なら主人公が探し求めている「ひとつなぎの大秘宝」の秘密でしょう。

しかし、ここまでなら共通するお話は結構たくさんあります。

 

大人がはまってしまう理由

 「ギネス級」ヒット作になったこの2つの作品の共通点、すなわち大人がはまってしまう理由にもなるんですが、それが、
ちゃんと非現実でありながら、とてつもないリアリティーを醸し出していることです。

もちろん、この2作品以外にもファンタジーでありながらリアルなお話はたくさんありますが、『ハリポタ』と『ONE PIECE』は、それがダントツに巧みで、しかも、実はほとんど同じアイテムを使ってファンタジーとリアルの両方を演出しています。

 

ファンタジーを演出するもの 

いろんな部分にファンタジー要素が詰め込まれているこの2作品ですが、私が最もそれを感じるのは、時代を転換させるほどの強大な人物の存在ですね。

『ハリポタ』ではヴォルデモート、『ONE PIECE』では海賊王ゴール・D・ロジャーです。その人ひとりの行動が時代そのものを変えてしまう。そんな人現実にいます? いませんよね、なかなか。現代では……スティーブ・ジョブズとか? うーん……。

話は変わりますが、主人公がその新たな時代で育った人間であり、実は運命的に導かれている、っていうのも2作品に共通しています。これもファンタジックな要素かもしれません。

 

リアルを演出するもの

これもまたいっぱいあります。挙げたらきりがないです。「差別」「種族」「政府」「文化」などなど。でも、この辺りを作り込んでいる作品は他にもあります。

じゃあ、何がこの2作品をギネス級に押し上げたのか?

『ハリポタ』と『ONE PIECE』に共通する特別な何かがある気がする、と思って眺めてみると、2作品とも3つのアイテムを効果的に使っていることに気づきました。

それは、「学術書」、「絵本」、そして「新聞」です。

 

リアル演出その1 学術書

意外かもしれませんが、『ハリポタ』と『ONE PIECE』には、いわゆる学術書みたいな本がたくさん登場するんですよね。

『ハリポタ』では主人公たちは、毎年新しい教科書買いに行ってますし、主人公の友人ハーマイオニーは本の虫で、本を話題にすることもしばしば。

ONE PIECE』には、「航海日誌」をまとめたものがたくさん登場します。航海士のナミや、考古学者のロビンがよく本を読んでいます。

そして、ここからがポイントなんですが、これらはただ登場するだけじゃないんです。

その登場の仕方のポイントは2つ。

まず、著者の名前がはっきり登場していること
『ハリポタ』なんか特に顕著で、教科書の著者がキーパーソンだったりします。著者名がはっきり出されることで、その人生ドラマや本が書かれた時代まで連想させ、物語の中の「時間軸」を読者に感じさせる効果があるように思います。

次に、内容を主人公たちが読み上げること
私たちも日常生活でやりませんか? 本の一節を抜粋して読み上げて、それを参考にしたりするの。○○なんだって。へー、なるほど。みたいな。これは、後に出てくる「絵本」と「新聞」にも共通する登場の仕方なのですが、こういう自然なやり取りが、さりげなく描かれているのが、リアルを演出しているのではないでしょうか。

 

リアル演出その2 絵本

読み進めないとわからないんですが、両作品とも作中に「絵本」が登場します。

ハリーポッター』には「吟遊詩人ビートルの物語」(最終巻『死の秘宝』で登場)、『ONE PIECE』には、「うそつきノーランド」(空島編で登場)。

そして、この二つの絵本には次の3つの特徴があります。

  1. 実話に基づいて作られた話、という設定である
  2. 古くから「読み聞かせ」のお話としてよく知られている
  3. 現在の世界に遺跡(遺産)があり、それが本編の大きなカギを握る

 これによって読者の物語世界は、時間的にも空間的にも格段に広がります。しかも、それが自然に行われるので、読者はそこに頭を使わずにスッと入り込んでいけるんですよね。

想像の世界って、実はリアルな世界よりはるかに狭いんです。人間の想像力は無限大だとかよく言うけど、全然そんなことないと思います。なぜなら、人間は自分の経験からしか考えられないから。

だから、逆に言えば、狭い世界を読者に悟らせずに、広いと感じさせることができたら、読者はその物語世界をよりリアルに近づけて考えることができるでしょう。

「絵本」はそういう演出に超効果的なアイテムなのです。

 

リアルな演出その3 新聞

これに気づいたときはちょっと感動しました。
この2作品、ともに「新聞」の描写が多いんですよ。『ハリポタ』なら「日刊預言者新聞」、『ONE PIECE』なら「世界経済新聞」。

しかも、主人公たちに与えられる最新の情報は、ほとんど新聞から。だから、物語の中で、主人公たちの意思決定とか行動に、大きな影響を与えています。新聞の情報に主人公たちが振り回されるシーンも、両作品にあります。

そして、ともにその情報は公的機関(ハリポタは魔法省、ワンピは世界政府や海軍)の力で操作されている、という描かれ方をしています。こういう権力の描き方もうまい、というか。情報=力の図式が、巧みに描かれています。

情報に振り回されたり、それに権力が介入したり。このように、私たちの現実世界にも実際に起こっていることを素直に描き出しているのもまた、リアルを感じさせる要因の一つでしょう。

 

まとめ

世界的大ヒット作の共通点をまとめてみました。

似ても似つかないテーマの作品のように見えますが、両作品とも現実世界のアイテムや構造をうまく織り込むことで、ファンタジーでありながら、非常にリアルに描いています。

大人気作ではありますが、どちらも超おすすめなので、ぜひ読んでみてください!

 

また、長くなってしまいました汗

最後まで読んでいただきありがとうございます。

kazu