#10 心の底から相手の事を想うということ。高野苺『orange』
大変ご無沙汰しております。kazuです。
いやもう、驚きました。このブログの最終更新日は6月5日。
……ほったらかし過ぎました。本当にすみません。
こんなブログ誰も見てないだろう、と思っていたのですが、アクセス解析を見ると誰かが見てくださっているのがわかって、嬉しい限りです。一体誰なんだろう……
というわけで、久々にブログを書こうと思い立ったので書きます。
今回は、この作品から、「相手を思う」ということを考えてみたいと思います。
この『orange』は、アニメ化・実写映画化、さらにアニメ映画化もしたので、ご存知の方がほとんどでしょう。
この漫画は、私のお気に入りの漫画でかなり上位に食い込みます。
ジャンルで言えば、恋愛SFモノ、って感じでしょうか。
お話は、未来の自分から来た手紙の、後悔をなくしていこうとする、というもの。
SFでは、ありがちな設定ですし、お話自体も、そこまで独自性はないかと思います。
では、何がこの漫画を名作たらしめているのか。
それは、キャラクターの心理描写、です。
この物語の本当の主人公
この物語の主人公は、高宮菜穂。
そして、その菜穂が好きな男の子が、翔君です。
物語は、もちろんこの二人を中心に動いていくわけですが、
私はこの物語の本当の主人公は、別にいると考えています。
それが、菜穂に片思いをしている須和くん。
彼は、ずっと菜穂の事が好きで、いろいろと手助けしてくれるんですけど、
頼りになることこの上ない。でも、須和君としては複雑なわけです。
その複雑な心理描写が、巧みになされている。これがこの漫画の魅力だと思います。
誰もが経験する? 片思い
私が思うに、須和君の心理描写が一番丁寧なんですよね。
菜穂に笑ってほしい、でも、それができるのは自分じゃない。
その心の葛藤がシリーズ全体を通して、とても細やかに描かれていて。
片思い、というものの切なさとか、小さな喜びとか、悲しさとか、むなしさとか。
そういうものがとっても丁寧に描かれています。
両想いになれる確率なんて、かなり低いのが現実。
その現実を、突きつけるんじゃなくて、寄り添うように語りかけてくる。
それが、この作品の一番の良さです。
相手を想う、とはどういうことか
この作品の隠れた命題は、「相手を想うとはどういうことか」だと思います。
答えなんてないでしょう。
でも、私は、須和君のように陰で見守ること、は一つの美徳だと思っていて。
例え、自分が苦しかったとしても、相手を支えるその姿勢が、かっこいいと思うし、
正解だとも思うんですよね。
まあ、人、場所、状況にもよりけりだとは思いますが。
今回のこの記事では、答えは出ないので、須和君のような恋愛をしている人が登場する物語で、彼らがきちんと描き出されている物語を紹介しておきます。
『PK』よりPK ー君の一番の幸せを考えよう
この記事のきっかけをくれた映画。
というのも、主人公のPKが、須和君にビビッとつながったんですよね。
どこがどうつながったかは、見てのお楽しみですが。
留学先で悲しい失恋を経験し、今は母国インドでテレビレポーターをするジャグーは、ある日地下鉄で黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男を見かける。チラシには「神さまが行方不明」の文字。ネタになると踏んだジャグーは、「PK」と呼ばれるその男を取材することに。「この男はいったい何者?なぜ神様を捜しているの?」しかし、彼女がPKから聞いた話は、にわかには信じられないものだった。驚くほど世間の常識が一切通用しないPKの純粋な問いかけは、やがて大きな論争を巻き起こし始める―。(Amazon商品紹介より)
めちゃくちゃ面白い。
あーもう全人類黙ってこの映画見てほしい。
この映画を撮ったラージクマール監督は、社会問題を、深く、そして面白く映画に盛り込むのがうまいんですよね。前作の、『きっと、うまくいく』もそうだったけど。
社会風刺を効かせるときって、シリアスな重い話にするのは簡単だけど、
誰にでもわかるように、かつ面白く語るのって難しいじゃないですか。
それをさらりと成し遂げている。それがこの監督の作品の面白さです。
どっちもおすすめの映画なので、ぜひ見てみてください。
『Les Miserables』よりエポニーヌ ー最後はあなたの盾となる
お次はこの作品。
ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪で19年間服役した後、仮出獄するが、生活に行き詰まり、再び盗みを働いてしまう。
その罪を見逃し赦してくれた司教の真心に触れた彼は、身も心も生まれ変わろうと決意し、過去を捨て、市長となるまでの人物になった。
そんな折、不思議な運命の糸で結ばれた女性ファンテーヌと出会い、彼女から愛娘コゼットの未来を託されたバルジャンは、ジャベールの追跡をかわしてパリに逃亡。
彼女に限りない愛を注ぎ、父親として美しい娘に育てあげる。
しかし、パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発。
誰もが激動の波に呑まれていく…(Amazon商品紹介より)
説明不要。ヴィクトル・ユゴーの名作をリメイクした大ヒットミュージカル映画です。
音楽良し、役者良し、ドラマ良し。
この中では様々な「愛」が描かれますが、その中でもエポニーヌの片思いに注目してほしい! 切ないんですけど、幸せなんです、きっと。
大好きな映画ベスト3のうちの一つです。もう一つは先に紹介した『きっと、うまくいく』。あと一つは、まあ、また違う記事で出てくる気がします、お楽しみに(笑)。
『ハリー・ポッター』よりセブルス・スネイプ ー愛が故の憎悪と献身
まあ、言わずもがな。
最終巻まで読まないと、分からないんですが、スネイプ先生に光を当ててくれたJ.K.ローリング先生に感謝ですね。
スネイプ先生は、この物語で一番、愛に満ち溢れた人なんです。
読んだことない人は、この機会にぜひ!
まとめ
今回のお題はちょっと難しすぎましたね……
自分の学のなさ、経験値の低さをとても感じました。
しかし、キャラクターに注意してみると、全くジャンルの異なる作品がつながるというのは、とても面白い結果でした。
何年後かに、同じテーマで改めて描きたいものです。今度は自分なりの答えを出して!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
kazu